プリンス

【アーカイブ】プリンス・スカイウェイ ALVG-2 (1959年)

📘 第1章|誕生の背景とモデル概要

1959年(昭和34年)に誕生した「プリンス・スカイウェイ」は、
あのスカイラインの商用版として設定された“高級コマーシャルカー”だった。

開発元はかつての航空機メーカー、中島飛行機をルーツに持つ富士精密工業(のちのプリンス自動車)
乗用車として高評価を得ていた初代スカイライン(ALSIS型)をベースに、実用性の高い貨物車仕様=バンタイプへと派生したのがこの「スカイウェイ」だった。


🔧 第2章|形式・スペック・機構

  • 年式:1959年
  • 型式:ALVG-2型
  • 車種区分:コマーシャルバン(ステーションワゴン型)
項目内容
エンジンGA4型:直列4気筒 OHV・1,484cc
出力70ps / 4,800rpm
トルク11.5kgm / 3,600rpm
全長×全幅×全高4,420mm × 1,680mm × 1,590mm
ホイールベース2,535mm
トレッド(前/後)1,340mm / 1,380mm
車両重量約1,410kg
サスペンション(前/後)ダブルウィッシュボーン / ド・ディオン・アクスル
ブレーキ(前/後)ドラム / ドラム
タイヤサイズ6.00-14-6PR / 6.00-14-8PR
ミッション4速フルシンクロトランスミッション(当時先進)

🎨 第3章|ボディバリエーションと特徴

スカイウェイには以下のバリエーションが存在した:

  • 標準2ドアバン
  • 左後席側にもドアを持つセミ4ドア仕様
  • ピックアップトラック型(別車種として別途展開予定)

ボディデザインは乗用モデルのスカイラインと基本を共有しながらも、
後部荷室の拡張や、チューブレスタイヤ・フルシンクロミッションなど、
“商用車としては高性能かつ高品質”な内容で注目された。


📈 第4章|市場評価と位置づけ

スカイウェイは日本の戦後商用車において、高性能とスタイルを両立させた稀有な存在だった。

1950年代の商用車といえば、性能は控えめで質素な外観が常識だった時代に、
このモデルは**スカイラインの名を冠し、構造・快適性・信頼性すべてにおいて“乗用品質”**を目指していた。

その実力は、政府系機関や都市部の企業車両としての採用にも繋がり、
後のスカイライン商用モデル(ステーションワゴン系)へと続く系譜の基点となった。


🖼️ 第5章|現存車と実車写真

このALVG-2型スカイウェイの現存台数は極めて少なく、日本国内にも数台のみとされている。
現車はスカイライン博物館にて展示されており、筆者も現地で撮影を行った。

この個体は、当時のオリジナルに極めて忠実な形でレストア済みであり、
ボディカラー・バンパー形状・ステアリング周辺・サスペンションアームなど、
細部に至るまで非常に貴重な“生きた資料”となっている。


📸 ギャラリー(画像8枚)


🧾 まとめ|スカイライン“実用車”のルーツをたどる

プリンス・スカイウェイ(ALVG-2型)は、
スカイラインという名が“高級スポーツセダン”として知られる以前、
実用車としての技術力と信頼性を体現していたことを今に伝える1台である。

その存在は地味ではあるが、
“スカイラインというブランドがなぜ長く続いたのか”を理解する上で、
この商用バンの存在は、欠かすことのできない1ページである。

昭和白虎隊