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【アーカイブ】ホンダ S500 AS280 (1964年)

第1章|モデル概要と開発背景

ホンダ S500は、1963年から1964年にかけて発売されたホンダ初の4輪量産スポーツカーである。
正式な型式はAS280型。この車両こそが、バイクメーカーだったホンダが4輪車市場へ本格参入した記念すべき第一号モデルである。

開発には、ホンダの創業者・本田宗一郎氏の理念が色濃く反映されており、
「小さくても速くて楽しい車」「他社と違うことをやる」という姿勢が随所に見られる。


第2章|スペック一覧(AS280型)

項目内容
年式1964年
型式AS280型
ボディタイプ2ドア・オープン
駆動方式FR(後輪駆動)
エンジンAS型:直列4気筒 DOHC・531cc
最高出力44ps / 8,000rpm
最大トルク約4.6kgm / 6,000rpm
変速機4速マニュアル
サスペンション(前)独立懸架・ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後)トレーリングアーム+チェーン駆動
全長×全幅×全高3,300mm × 1,430mm × 1,200mm
ホイールベース2,000mm
車両重量約725kg
タイヤサイズ5.20-13
最高速度約130km/h
新車当時の価格約45万円

第3章|デザインと構造的特徴

  • フロントは丸目2灯+クロームグリルの軽快なデザイン
  • リアはコンパクトな丸型テールライト+丸みを帯びたバランスあるスタイル
  • ドアは極めて軽量、全体構造は徹底した軽さ重視設計

車体下部にはホンダ独自のチェーン駆動式リジッドアクスルが採用され、
独特の乗り味と軽快な加速フィーリングを実現した。


第4章|市場評価と実用性能

  • S500は販売期間が約1年半と短かったが、
    その分**“限定的存在感”と“源流としての価値”**が際立っている。
  • 商業的には後継のS600/S800にバトンを渡したが、
    「ホンダのDNAはS500にすべて詰まっていた」との評価も高い。

第5章|派生モデルと次世代展開

  • S600(1964〜):排気量アップ(606cc)、スタイリング継承
  • S800(1966〜):フルシンクロミッション/最高速160km/hクラスへ
  • S2000/S660:ホンダのライトスポーツ哲学を受け継ぐ後継機たち

第6章|現存車と画像資料

実車の撮影画像は現在8枚以上を保有。
特にS500は現存数が非常に少なく、初期個体の完全オリジナル仕様は極めて貴重。

展示例:

  • トヨタ博物館
  • ホンダコレクションホール(参考)
  • 各地クラシックイベントに出展あり

📸 ギャラリー構成(文末に画像挿入)


🧾 まとめ|ホンダスポーツの“始点”を記録する

ホンダ S500(AS280型)は、
単なる旧車のひとつではなく、“スポーツカーで世界へ挑むホンダ”の最初の意志表示だった。

その構造、思想、走りのすべてが、
今のホンダを知る上でもかけがえのない原点となっている。


📎 特集記事はこちら:「ホンダ初のスポーツカー|S500と挑戦のはじまり」
👉 本記事はスペック中心のアーカイブ構成です。

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