目次
1. はじめに|プリンスの高級車戦略
1960年代前半、日本の自動車産業は急速に成長し始めていた──そんな中で、プリンス自動車が誇りをかけて送り出したのが「グロリア」だった。
この車は単なるスカイラインの上級版ではなく、プリンス独自の“高級サルーン”思想を体現する1台として生まれたのである。
特に1962年9月に登場した2代目(41型)は、前身であるスカイラインとの血縁を断ち切り、全く新しいプラットフォームとボディで再構築された。
スタイリングは「フラットデッキ」と呼ばれ、船の甲板から着想を得た直線基調のデザインが特徴的だった。
また、国産初のACジェネレーターや、スカイラインスポーツ用の打ち抜きグリルなど、装備面にも意欲的な仕様が取り入れられた。
2. スペックと技術的特徴
メーカー | プリンス自動車工業 |
---|---|
車名 | グロリア スーパー6 |
型式 | S41D-1型 |
エンジン | G7型 直列6気筒 OHC 1988cc |
最高出力 | 105ps |
トランスミッション | 4速マニュアル |
駆動方式 | FR(後輪駆動) |
全長×全幅×全高 | 4690mm × 1690mm × 1440mm |
車重 | 約1320kg |
最高速度 | 155km/h |
発売当時の価格 | 約120万円(参考) |
【派生バリエーション年表|一次資料に基づく】
年月 | モデル | 特徴 |
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1962年9月 | S40D-1(標準型) | フラットデッキ採用/ACジェネレーター搭載 |
1963年6月 | S41D-1 スーパー6 | G7型直6搭載/最高速155km/h |
1963年10月 | S40S-1 スペシャル | スーパー6の廉価版 |
1964年2月 | LPG仕様 | タクシー用途にLPGモデル登場 |
1964年4月 | グランドグロリア | G11型直6(2494cc/130ps)/パワーウインドー&4連キャブ標準 |
3. デザインと装備の美学
フラットデッキのコンセプトは、直線を基調とした伸びやかなサイドラインと、薄いルーフラインによって力強さとエレガンスを両立。
グリルにはスカイラインスポーツからの技術流用があり、見た目の高級感だけでなく機能的合理性も兼ね備えていた。
4. スーパー6の誕生と直6の衝撃
G7型エンジン(1988cc)は105psを発生し、従来型から最高速度は10km/h向上。
静粛性や振動の少なさでも当時の国産車トップクラスだった。
5. 現存車紹介と画像ギャラリー
現存台数は少なく、ここに紹介するのはトヨタ博物館に展示された実車である(撮影:筆者)。








6. まとめ|グロリアが示した高級車の未来
このモデルが提示したのは、国産車の“上質さ”という価値。
プリンスが志した高級車像は、後のセドリックやグロリアの基盤となり、今なお語り継がれている。
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