目次
1. トヨペット・クラウン RSD型とは|1955年に誕生した日本初の本格国産乗用車
1955年、日本の道路に「王冠」が現れました。トヨタが送り出したその車の名は、トヨペット・クラウン RSD型。戦後の混乱を抜け出し、日本が復興の兆しを見せはじめたその時代に、純国産技術だけでつくられた初の本格乗用車が誕生しました。
車名の「クラウン=王冠」には、トヨタの明確な決意が込められています。日本の自動車産業を代表する存在として、このクルマを育てていくという宣言。今回は、筆者がトヨタ博物館で撮影した実車写真とともに、クラウンの出発点をアーカイブとして記録します。

2. 車両概要|基本情報とスペック
車名 | トヨペット・クラウン |
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型式 | RSD型 |
発売年 | 1955年 |
発売当時の価格 | 101.5万円 |
エンジン | R型 1.5L 直列4気筒 |
最高出力 | 48馬力 |
トランスミッション | 3速コラムシフト |
駆動方式 | FR(後輪駆動) |
全長×全幅×全高 | 4285mm × 1680mm × 1520mm |
車両重量 | 約1300kg |
3. 外装デザインと特徴
まず、外観に注目してみましょう。初代クラウンは、アメリカ車の影響を受けながらも日本らしい端正さが際立つデザインでした。フロントグリル中央には王冠のエンブレムが鎮座し、メッキの横桟が重厚な印象を与えます。

4. 内装・エンジン・機構
次に、内装にも目を向けてみましょう。内装は質素ながら整然と機能が配置されており、ダッシュボードにはメタルパネルを採用。ベークライト製のつまみや大型ステアリングなど、工業製品としての美しさが際立ちます。

5. 歴史的位置づけと販売背景
クラウンの当時の販売価格は約101.5万円。官公庁やタクシー業界からの需要も多く、信頼性の高さが社会に認知されるきっかけとなりました。
6. まとめ|この車が語るもの
最後に、初代クラウンの意義を振り返ってみましょう。初代クラウンは、トヨタだけでなく、日本の自動車産業にとっても象徴的な存在です。クラウンという名が今も続くのは、このRSD型が持っていた精神──「日本の道、日本人の暮らしに合う車をつくる」という哲学が、脈々と受け継がれてきたからなのです。
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